★のほほん田舎暮らし!★

自作のパンやケーキのメモと日々の何気ない小さなことを書いてます。

サラの鍵

図書館に返却に行った時、「お勧めの本ありませんか?」
その時、親しくなった女性職員さんに紹介されたのがこの2冊。
小説のように、サササ〜〜〜ッと読んでしまって、ハイ終わり!と言いう分野の本ではないのだけど・・・
一応サ〜〜〜〜と目を通してみた。

小泉今日子 書評集』

小泉今日子書評集

小泉今日子書評集

『読まされ図書室』小林聡美
読まされ図書室 (宝島社文庫)

読まされ図書室 (宝島社文庫)

『読まされ図書室』は小林さんが誰かに勧められて読んだ本を紹介すると言う内容。文調もとてもフランクで、親しみやすい内容。これ読みたいな!あ〜これもいいかな?と言う本が何冊もあった。



そして小泉さんの書評集は、2005年から2014年までの10年間読売新聞で読書委員を務めた中で、彼女が紹介した書籍の数々を紹介年代順に載せてある。
書評集なので、当然それぞれに感想&エッセイっぽい感じの文章が書かれている。それが彼女の年齢や職業、育った環境・年代と相まって素直にス〜〜〜ッと入ってくる、素敵な書評の数々だった。
10年間の公開書評は100冊に近い数。彼女の読破した本はこの何倍もあるのだろう……
その中で私が読んだことのある本は、たったの4冊(>_<)。
紹介書籍の中から、何冊か読んでみようと思った中の1冊がこれ・・・
『サラの鍵』

サラの鍵 (新潮クレスト・ブックス)

サラの鍵 (新潮クレスト・ブックス)

史実に基づいいて書かれた小説。
年代も地名も事実のままで、登場人物は架空のストーリー。
図書館で手渡された時、思ったより分厚くて、その上文字が小さい。
ワァ〜〜〜読みにくいな… 最後まで読めるかな??ととっさに思う(-"-;A ...アセアセ


重い内容だったけど3日で完読。私にしては早いほうだ!



舞台はパリ!第二次世界大戦が始まって4年目の1942年7月16日から物語は始まる。
その日はパリ・その近郊に住むユダヤ人が一斉検挙された日。
その中の一人が10歳のサラ。その時から彼女の過酷な運命が始まる。
この一斉検挙を実行したのは、フランス警察だった。
13,152人(うち子供4,115人)。戦後生還できたのはたったの400人ほど。


戦後生まれのフランスの若い世代は学校でも教えられず、ほとんどがこのことを知らずに時は流れていた。
53年後の1995年7月16日に行われたシラク大統領の演説で、初めて国家として正式に謝罪した。



     ★★★★★★★★★★★★★★★★★★


サラの家族は両親とサラの3人が検挙される。実はサラには幼い弟がいるのだが、サラのとっさの考えで部屋の奥にある秘密の納戸に弟(4歳)をかくまう。そこには水も絵本もおもちゃも有り、少しの間なら弟は納戸に隠れているほうが安全とサラは思ったのだ。そして、必ず迎えに来るから待っているようにと、弟を諭して鍵をかけフランスの警察官に連行される。


フランス国籍である自分たちは、すぐに家に帰してもらえるのだとサラは思っていたのだ。検挙に携わった警官の一人はサラも良く知っている親しい警官だったのだから…



最初にたどり着いた場所は“ヴェルディヴ”と呼ばれる屋内競技場。そこでは、全てのユダヤ人が家畜と同じ扱いを受ける。
トイレも食べ物もほとんどない状況で6日間。その後ドランシー駅から家畜専用貨車でポーランドへ向けて・・・アウシュビッツへと送られて行く。


ストーリーは2002年5月(現在)のパリとユダヤ人一斉検挙のあった1942年7月とを交差させながら進んでいく。
もう一人の現在の主人公は、フランス人と結婚しパリに住むアメリカ出身のジャーナリスト・ジュリア。
彼女は仕事上、パリでのユダヤ人迫害について取材を勧めていく。家族との不調和も有りながらついにはサラにたどり着く・・・・
    
    
    (二つの時代は書体を変えて表してある。右:1942年。左:現代)


後半は、2002年のパリでのジュリアの取材の様子と家族との関係。
そして、ニューヨークでの意外な展開……
この取材によって、ジュリアの人生は大きく変化していくのだ。
歴史上の汚点とも言うべきユダヤ人迫害の事実。この本でその一端を知ることが出来たことは、私の心の宝物になるかもしれない!
ストーリーの最後が、未来への希望がうかがえるシーンで完結していることが何より嬉しかった。
重々しく暗い雰囲気を引きずったまま終わっていたら、とても読んで良かった!とは思えなかったと思う。




丁度この本を読んでいる時に、TVで『アンネの追憶』を放送することを知り、これは絶対に観なければ!!と閃いたことは言うまでもない。


何となく本を読む日々。
この本はきっと忘れられない1冊になるのだろう。
この本に巡り合えたことに感謝。
ふと思ってみると、忘れられない1冊って戦争にまつわる本が多いのかも・・・?