★のほほん田舎暮らし!★

自作のパンやケーキのメモと日々の何気ない小さなことを書いてます。

わんランク上の老犬生活ー4ー

怖い心臓病



「のどに物が詰まったような咳をするのですが、なんでしょう?」


「ヘッ!ヘッ!ヘーッって咳ですか?」


そう聞き返すと、ことの重大さに気が付いていない多くの飼い主さんは、「はい!」とにこやかに返事をします。


実はこのような咳は、心臓の弁がうまく閉じないことが原因となり、起きることが多いのです。


心臓病が怖いのは、初期は無症状であるため、ほとんどの飼い主さんが気付かないこと。
見た目は元気でも、すでに心臓はかなり悪くなっていることがあります。
当院でいえば、シニアといわれる7歳以上の犬の4匹に1匹が、心疾患にかかっています。


心臓は、血液を送り出すポンプです。
全身の細胞に酸素と栄養を運び、二酸化炭素と老廃物を体外に出すため、休みなく仕事を続けています。


シニア犬になると、血管がだんだん硬くなり、血液はスムーズに流れなくなります。
そのため血液を送り出すのに大きな力が必要となり、心臓に負担がかかります。


また心臓の中にある、血液の逆流を防ぐ4つの弁が厚くなり、血液の流れがうまくコントロールできなくなります。


心機能が低下してくると、肺や他の臓器に血液がたまってしまい、咳、食欲不振、体重の減少などの症状がみられます。


苦しそうに息をしたり、呼吸が速くなったり、運動を嫌がったりしたら、一度、かかりつけの獣医師に相談してみてください。
症状が進むと、安静時にも息切れや呼吸困難、失神、脚のむくみなどの症状が出ます。


手作りの餌の場合、塩分の多い食事は控えます。
ドッグフードなら心臓病用の「療法食」を使用するのもよいでしょう。


暑すぎたり、寒すぎたり、あるいは急激な温度の変化は、症状の悪化につながります。
シャンプーをする場合は、湯気を吸わせないようにします。
心機能の維持のため、心臓に負担がかからない程度の適度な運動を行います。


残念ながら、心臓病が完治することはありません。
症状の悪化をいかに遅くするかが、長生きの鍵となります。
循環器系の薬を与えると、症状が改善し、生活の質が飛躍的に向上することがあります。


(若山正之・獣医師)